赤ちゃんで注意が必要な感染症のひとつが「RSウイルス」です。多くはかぜのような症状で経過しますが、特に生後6か月未満の赤ちゃんでは重症化しやすく、入院が必要になることがあります。
東海市・知多市周辺でもRSウイルス感染は珍しいものではありません。以前は冬場に流行していましたが、最近では、季節に関係なく一年を通してみられる感染症(通年性)となっています。
上のお子さんから赤ちゃんへうつるケースも少なくありません。
こうしたRSウイルス感染症から赤ちゃんを守る方法として、近年注目されているのが**妊婦さんに接種するRSワクチン「アブリスボ」**です。
そしてこのワクチンは、2026年4月から公費による定期接種として開始となり、より多くの方が検討しやすくなりました。
●アブリスボとはどんなワクチン?
アブリスボは、RSウイルスの感染に重要な「Fタンパク(融合タンパク)」のうち、最も中和抗体を誘導しやすい「プレフュージョン型(pre-F)」構造を標的としたワクチンです。
妊婦さんに接種することで母体内に抗体が産生され、それが胎盤を通じて赤ちゃんへ移行します。これにより、出生直後から赤ちゃんが受動免疫によって守られるという仕組みです。
●定期接種の対象と時期
2026年4月からの定期接種では、以下のように対象が設定されています。
•対象:妊娠28週0日~36週6日の妊婦さん
•目的:生後6か月未満の赤ちゃんのRS重症化予防
●なぜ28週から接種するの?
•妊娠後期になると胎盤を通じた抗体移行が大きく増える
•出生時に十分な抗体量を赤ちゃんに届けやすい
•有効性と安全性のバランスが取れている
つまり、赤ちゃんをしっかり守るために最も効率のよい時期が28週以降と考えられています。
●ワクチンの効果と安全性
アブリスボの有効性は、大規模国際臨床試験(MATISSE試験)で検証されています。
•重症RS下気道感染:有効性 約81.8%(出生後90日まで)
さらに重要なのは、安全性の面です。
母体・胎児ともに大きな安全性の懸念は認められておらず、早産や低出生体重との関連も統計的に有意な増加は確認されていませんでした。
●抗体製剤との違い
RSウイルス予防には、ニルセビマブなどの抗体製剤もあります。
•アブリスボ:妊婦さんに接種し、赤ちゃんへ抗体を移行
•抗体製剤:赤ちゃんに直接抗体を投与
妊娠中に接種できる場合は、出生直後から自然な防御が得られるのが特徴です。
抗体の移行期間を考慮し、出産予定日の14日以上前に接種を推奨しています。
早産などで抗体移行が不十分な場合には、抗体製剤を追加で検討することもあります。
●三種混合ワクチン(百日咳対策)について
妊娠中のワクチンとしては、RSワクチンに加えて三種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風)も重要です。特に百日咳は、新生児が感染すると重症化しやすく、無呼吸などを起こすこともあるため注意が必要です。
妊婦さんに接種することで、百日咳に対する抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへ移行し、生後早期の感染予防につながります。
RSワクチンと同様に妊娠後期での接種が推奨されますが、当院では同時接種ではなく、約2週間程度間隔をあけての接種をご案内しています。
これは、RSワクチンとTdapを同時接種した場合に、百日咳に対する抗体価がやや低下する可能性が報告されているためです(現時点で臨床的な影響は明確ではありません)。妊娠中の限られた期間で、赤ちゃんへできるだけ十分な抗体を届けることを重視し、接種タイミングを調整しています。
●東海市で接種場所を検討されている方へ
RSワクチンは、産科だけでなく小児科クリニックでも接種できるようになってきています。 当院では、妊婦さんの不安に配慮しながら接種を行い、必要に応じてかかりつけ産科への確認についてもご案内しています(お母さんからご相談いただく形)。
●まとめ
RSウイルス感染症は、多くの赤ちゃんにとって身近な感染症でありながら、時に重症化することがあります。
アブリスボの定期接種化により、「生まれる前から守る」という新しい予防の選択肢が広がりました。
東海市・知多市でRSワクチンの接種場所を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。安心して接種を受けていただけるよう、丁寧にサポートいたします。



